重症児者の防災ハンドブック(読書)
2012年 08月 19日
「重症児者の防災ハンドブック」(田中 総一郎・菅井裕行・武山裕一著・クリエイツかもがわ・2012年3月)
人工呼吸器や吸引が必要な重症児者を今回の震災でどのように守っていったかが書かれていました。こういった医療機器は電気が必要なので車の利用やカセットガスコンロで動く発電機や足踏みで動く吸引器の使用などいろいろな工夫・備えについてアドバイスされています。それ以上に有効だったのがネットワークです。震災地だけでなくそれをサポートすべく被災地以外からの支援です。被災地では当然物資も不足していますがメール・ツィッターの活用などにより必要な物資を必要な数だけオンタイムで伝えることができました。
被災地支援について、ボランティアの事も書かれていました。ボランティアの受け入れや仕事の指示は混乱した現地ではスムーズにいかない事が多いです。そういった中、少ないとは思うのですが、「せっかく支援に来ているのに不当な待遇を受けている」と思う人もいたそうです。それに対応するにはどうしたらいいのか?阪神淡路大震災、新潟地震、中越沖地震を経験した新潟の筆者は、「現地の人間ではなく被災地以外から支援に行った人間が管理することが望ましい」と実践されたそうです。確かに被災地ではない人が対応していれば、「せっかく支援に来たのに・・・・・」という不当な感情は芽生えにくくなりますよね。さらに震災ボランティアを経験してきた人が対応するのでどのような支援がどの時期に必要かがわかりやすいわけですし大変合理的だと思いました。先の震災の経験を活かした一例でしょう。
2012年㊽