原発と地震‐柏崎刈羽「震度7」の警告(読書)
2011年 08月 05日
「原発と地震‐柏崎刈羽「震度7」の警告」(新潟日報社特別取材班・講談社)
2007年の中越沖地震の際、損傷を受けた新潟・柏崎刈羽原発についての新潟日報社特別取材班のレポート?です。
この地震の時、私は特急列車に乗って彦根の「和」さんでの走行会に向かっていて地震自体には気づきませんでした。
内容ですが、最初、地震後の原発の現場での話から始まります。緊迫感が伝わってくるのですが第一章で終わりです。(すぐ終わってしまいます。残念です^^;)
残りは断層のある柏崎刈羽にどうして原発を建てたかという話が中心になります。1977年に安全審査の際、審査委員の地質学者が辞意を表明しています。地震を起こす恐れのある活断層が近辺にあることを指摘してもスルーされてしまったためだそうです。(なんかどこまで見たことがあるような光景ですね・・・・・)
東電は2003年には再評価で活断層の存在を認識したようですが公表をしませんでした。中越沖震災後に東電が2003年には活断層について把握していたことが明らかになり「公表していればもっとしっかり震災への対応を取れたのに」・・・・・と地域住民も憤ったそうです。2003年に活断層の存在を把握していたら原発の耐震性ももう少しあげられたはずなのですが・・・・・・。さらに中越沖地震後に、福島原発などにも手当をしていたら・・・・・・。
もう一つ、興味深い記載がありました。安全神話についてです。原発に携わる人は「原発は絶対に壊れない。安全である。」と信じ切っている(ふりをしている?)人が多いそうです。
東電の火力担当の方が日本原燃の社長に就任した際に(火力部門の人が原燃に行くのもどうかと思いますが・・・・・・)、部下から「社長、故障するなんて言わないでください」と言われて「機械は故障するもんだ!何を言ってるんだ!」と叱責して呆れている記載がありました。原発関連の本を読んでいて確かに推進派の人には楽観的なことを言う人が多いという印象があります。今、まだ読んでいる最中ですが「新原子炉お節介入門」の著者・元京大原子炉実験所長・京大名誉教授の柴田俊一教授くらいですかね。原子力に肯定的に携わっている方で事故・危機について真摯な態度を示しておられるのは。(いずれまた紹介したいです。)本書にその柴田先生のお話が紹介してあります。
「原子炉は特別なものと思っているかもしれないが、そんなことはない。壊れるのが普通だ。」
お節介原子炉入門には、「事故は起こる、起こらないじゃない。起こさない!だ。」とのお言葉もあります。
こういった意識を持った方が保安院や安全委員会にいるといいのですが、こういった先生方は煙たがられてメンバーに呼ばれないのでしょうかね。