原発「危険神話」の崩壊(読書)
2012年 06月 11日
「原発危険神話の崩壊」(池田信夫著・PHP研究所・2012年2月)
池田信夫氏をテレビで見たとき、感情むき出しで武田邦彦氏に食ってかかっていて非常に不快に思いました。内心、「御用経済学者で東電とずぶずぶなのかな?」と思いました。
その池田氏の著書、どんな感じか読んでみましたが、「福島原発の事故で死んだ人は一人もいない」と書かれていてびっくりしました!彼が言いたかったのは、「ただちに影響があったものはいない」ということなのだろうと思います。が、1999年のJCOの臨界事故ですら作業員は即死したわけではなく放射能の影響を受けながら苦しんで亡くなっています。今までにも作業に携わった方で亡くなった方、事故後取り残されて亡くなった人、避難時に亡くなった人、放射能の影響を悲観して自死した方々がいらっしゃいます。著者はこれらも風評被害のように思っているのでしょう。
今後のエネルギーについては客観的に私見を述べられています。東電側というよりむしろ逆の立場から今後のエネルギーについて語られていて肯ける点も少なからずというか結構あります。
感情むき出しにせず冷静に語られればバッシングされることもないと思うのですが・・・・・・。
2012年㉚
追記:この所感は3月末に書きましたが先週金曜日には野田総理の再稼働宣言がありました。大飯原発は直下に断層があると言われていて福島第一原発以上の過酷事故が予想されます。福島第一の場合は初期で制御棒が働き核分裂を抑えることができました。大飯で直下型地震が来た場合、制御棒が挿入できない事態も予想されます。そうなると暴走をチェルノブイリのような事態を招きかねません。それ以前に多くの配管が断裂し直後から大量の放射能汚染をおこす恐れもあります。小出先生もおっしゃっていましたが事故の原因は常に同じではありません。全冷却水消失、制御棒挿入不可などいろいろな事態が考えられます。
昨年の事故で、原子力は人間の力で制御しきれないものであること、その結果として大きな被害を及ぼすということがわかりました。福島原発の事故は悲劇でしたが事故の教訓を生かし制御不能な原発依存社会から脱すれば禍転じて福となると思っておりましたので野田総理の宣言は残念でなりません。
※今年の読書も3月末で30冊に達しました(^^