石巻災害医療の全記録
2012年 10月 04日
「石巻災害医療の全記録」(石井正著・講談社・2012年2月)
東日本大震災の中でも最大の被害を受けた地域の一つである石巻。その被災地で災害医療コーディネーターとして9月30日までの長期に渡り医療支援の指揮をとった著者が震災医療支援を振り返った書です。
「宮城県沖地震が30年以内に発生する確率は99%」、著者はこの事を念頭に災害の際にどうしたらよいか東日本大震災以前より実際にどのように対応していくべきか、石巻赤十字病院の災害担当部長となってから考えるだけでなく行動を起こしてきました。
マニュアルの見直しはもちろん、院外の各担当部署(役所・自衛隊,etc)とも協議を繰り返していきます。震災直前にはそのような対応を買われて知事から県の「災害医療コーディネーター」に任命されます。
発災後、石巻は壊滅的な打撃を受けます。前例のない大災害への対応ですが著者は震災前より震災対応について考えてきたため臆することなくリーダーシップを発揮して対応にあたります。震災前に各担当部署と顔を見せての協議を繰り返してきたためその事も大きな助けとなったそうです。
震災に際しては全国から多くの救護隊が協力にあたりましたがその運営、その運営先々で生じる問題点、それらに迅速に対応していく著者は私にはスーパーマンに見えました。凄いです。
震災前の備えがなにより大切ですね。こういった方が災害の場で活躍してくださったのは被災地にとって大きかったのだと思います。
2012年56冊