寝台急行銀河・アウトドアライフ(もどきかな^^;)を愛するブログです


by yamasanginga
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フォルトゥナの瞳―アナザーストーリー

(この2年、真理子はどんなに辛い思いをしたのだろう……)
 慎一郎は後悔の念にさいなまれた。
(あのとき真理子に告白していたら・・・・・・)
 突然、胸が締め付けられるように苦しくなった。
(また、あの発作だ)
 発作はいつもより強烈で慎一郎の意識は苦しみのうちに遠のいていった。

「大丈夫っ?しっかりして!」
 聞き覚えのあるなつかしい声が聞こえる。
(まさかっ)
 目を開けると目の前で真理子が心配そうにみつめていた。美しい黒髪で宇津井と付き合う前の無邪気で素朴な美しさ、明るさがにじみ出ている真理子だった。慎一郎が意識を取り戻すと真理子の顔に安堵の表情が浮かんだ。
「植松さん、どうして?!」
「木山さんが苦しそうにして突然倒れたからびっくりしちゃって!よかった意識が戻って。」
 ここは真理子といつも昼食を食べていたミーティングルームだ。どうやら真理子と昼食をとっていたようだ。
(これって、過去に戻ったってことなのか?!もしかしたら自分の思いが過去に戻らせてくれたのかもしれない。目の前には真理子がいる!あの思いを寄せていた真理子が・・・・・・)
 慎一郎の目から涙があふれた。
「木山さん、大丈夫?」
 怪訝そうにみつめる真理子。それはそうだろう突然気を失って意識が戻ったと思ったら泣き出したのだから。
(今、言わなくちゃ)
 慎一郎に迷いはなかった。
「真理子さん、好きです。つきあってください!」
 驚きの表情を見せ、しばらく言葉を発せなかった真理子だが目を真っ赤にして
「死んでしまうかと心配させておいていきなり何を言うの?!」
 と涙を流しながら言った。
「真理子さんっ、こんなときにごめんっ!でも君の事が好きなんだっ!」 
 真理子をみつめ、慎一郎はさらに叫んだ。そんな慎一郎を涙のしたたる真っ赤な目でみつめながら真理子は、
「私も慎一郎さんの事が好き」

二人はみつめあい、どちらからとなく抱きしめあった。

 二人はつきあいはじめた。デートなど無縁だった慎一郎、どのように真理子をエスコートすればよいのかわからなかった。不器用なデートとなったが二人にとってはそんなことはどうでもよいことだった。ただ二人でいっしょにいられればそれ以上の幸せはなかった。二人はほどなく愛し合い、慎一郎が独立したのち結婚した。
 
 それから10年、子供が二人産まれ今は小さいながら川崎の郊外にある戸建に住んでいる。
 風呂からあがった慎一郎は寝室へ向かった。真理子が子供たちを寝かせそのまま添い寝していた。
(真理子、ぼくはなんて幸せななんだ。君に出会えて本当によかった。)
 真理子の肩に毛布をかけると目を覚ました。慎一郎を見つめると、
「あなた、私あなたに出会えて本当によかった。」
 そう語り、慎一郎に身をあずけてきた。
「ぼくもだよ、真理子。これからもずっと一緒だよ。」
 お腹に二人の愛の結晶を宿した真理子を抱きしめ慎一郎は考える。
(あの時、告白することができてよかった。告白をすることで真理子のそして自分の未来を変えることができた。その機会を与えてくれたのは神様、いやもしかしたらあの特殊な能力なのかもしれない。 )
 あの日から、慎一郎には人が透けてみえるということはなくなった。病院にも行ってみたが透けてみえる人は一人もいなかった。
(不思議ないや自分にとってはつらくかなしい能力だったけどそのおかげでかけがえのない真理子を失わずにすんだのかもしれない。むしろ感謝しなければいけないのかな。)
 慎一郎は真理子の温もりを感じながらいつしか眠りについた。



後記:「フォルトゥナの瞳」、私は人の運命がわかる能力にはあまり興味がなかったのですが植松真理子さんの件を読み始めてから作品に引き込まれあっという間に読んでしまいました。たぶん私も同じような体験をしたからだと思います。慎一郎っ!昼食を一緒に食べていいか聞いてきた段階で気付けや!女の子がそういった事を言うのにどれだけ勇気がいると思ってるんや!!まして純な真理子ちゃんやぞっ!!あほかっ!そしてお互いにいて楽しかったら休日も一緒に過ごすよう動くのが男やろうが!
 宇津井にもてあそばれて捨てられたらそこを救いに行くのも男とちがうんかっ!!真理子ちゃんは傷ものやあらへん。真理子ちゃんのような魅力のある子を捨てる宇津井があほなんや。碌な死に方せんぞ!真理子ちゃんを救えるのはお前しかおらんやないかっ!と速攻で思いましたが(まあ真理子ちゃんもしっかりした子だから立ち直るだろう・・・・・・」と陰ながら応援していました。
 それがなんということに・・・・・・。あまりに堕ちた姿に私は小説であることも忘れおそらく慎一郎以上にショックを受けたと思います。
 その後の桐生さんとの件も興味深く読ませていただきましたが「慎一郎が告白したら真理子ちゃんは幸せになれただろうに・・・・・。慎一郎だって幸せになれたのになぁ・・・・・。そうだ!慎一郎が告白したらどんな感じになるか再現してみよう!」そう思って小説というか文章もブログ以外に書いたことがない私が真理子ちゃん慎一郎くんのために初めて筆を?とりました。
 
 私は今まで2回女性に告白したことがります。高校生の時好きだった子には勇気を持って告白しましたが玉砕しました。当時は恥ずかしい気持ちがありましたが今では「告白しといてよかったな」と思っています。
 今のかみさんは付き合う前、宇津井と付き合っている真理子さんに近い状況でした。かみさんの事が好きでしたし、「このままだと彼女がだめになってしまう!」と告白して彼女を取戻し現在に至っています。告白していなかったら今のかみさんは真理子さんほどではないにしろ不幸になっていたと思います。(わしと結婚した方が不幸やったわっていったん誰や?・笑)
 フォルトゥナの瞳という作品、少しの決断で未来が変わるということだと思うのですが世の若者に自分のためにも好きな人のためにも告白する勇気を持つことの大切さを表していると思います。告白しないことは今回の真理子さんのように自分だけでなく大切な人の未来も変えてしまうかもしれません。もし断られたら高校生の時の私のように好きな人のために名誉ある撤退をすればよいのです(^^恥ずかしい思いをするのもいっとき、周囲はすぐに忘れますよ。そして百田さん風に「あれなーわしを振って絶対不幸になっとるで!わしと結婚したら幸せになっとったのに・爆笑」と思ったらよいです(^^
 
by yamasanginga | 2014-02-26 22:26 | 読書 | Comments(0)